うつ病は身体の症状で始まることが多い

 うつ病の時には気分がゆうつになることはどなたも知っておられます。 しかし、うつ病の人の大半は身体の調子が悪くなるという形で始まります。
 身体症状として多く見られるのは、食欲がない、身体がだるい、眠れないという症状です。 その他、動悸、息苦しさ、胃が不快、胃痛、肩凝り、頭痛、めまい、ふらつき、 時には全身の痛みなど、いろいろな身体の異常が出現します。
従って、初めてうつ病になった人は、内科や脳外科、婦人科などを受診されるのが普通です。 そこで、いろいろな検査を受けても特に問題はないということで、 「自律神経でしょう」とか「更年期障害でしょう」といわれている方が多いようです。 そこで、うつ病だと診断して、抗うつ剤を処方されている気の利いた先生もおられます。 また、当院のようなところに行くように助言される先生もおられますが、 「気持ちの病気ですね」という解答だけくださって、どうしたらいいのか、 何も指示してくださらない先生もおられるようです。

 さて、身体症状がいろいろあるのに、検査をしても異常がないと言われたとき、 「うつ病ではないか」と考えてみる価値はあります。不眠を伴っていれば、 先ずうつ病を考えていいでしょう。気分がすぐれない、何もしたくないなどがあれば、 間違いなくうつ病でしょう。しかし、恥ずかしがることはありません。 誰でもなる可能性のある現代病であるからです。精神科か心療内科の先生にご相談ください。

 うつ病には薬が有効ですから、必ず使います。薬に対して「癖になる」とか 「副作用は」などいろいろ心配して、不安がる人も多いのですが、医師がお渡しする薬ですから、 安心して服用してください。