うつ病と躁鬱病(双極性障害)の相違について。

うつ病と躁鬱病(双極性障害)の相違について

 うつ病については前にお話ししましたね。今回は躁鬱病についてお話しします。躁鬱病はその名の通り、うつ状態になったり、真逆の躁状態になったりする不思議な病気です。プラスとマイナスが来るので、最近はアメリカ式の分類では双極性障害と呼ばれています。

躁状態とは
 躁状態の症状をお話ししておきましょう。うつ状態とは真反対で、元気でやる気がどんどん出てきます。何でも積極的で、あれこれ活動的になります。話も多弁で、自信に溢れています。睡眠時間が短くなりますが、それでも疲れを感じなくて平気で動き回ります。また時間をかまわず、あまり親しくない人にまで電話をしたりすることが多く見られる。金使いも荒くなり、高価な買い物をしたり、人に物やお金を大判振る舞いしたりする人もいます。躁状態が落ち着いたら、周囲に迷惑をかけていたり、多額の借金が出来ていたりすることがあります。
 悪いことばかりではありません。軽躁状態では次々によいアイデアが浮かび、行動も出来ますので、仕事場ではいい仕事が出来ます。会社では有能で役職に就いている人にも出会いました。

躁鬱病(双極性障害)の診断
 症状は周期的に繰り返すという特性があります。症状は躁状態と真逆のうつ状態が繰り返すのが一般的です。周期性がありますので、治療しなくても時期が来ると落ち着くか、病状が逆転します。周期は2~3ヶ月という短い人もあれば、半年~1年くらいの人もいます。珍しいですが1週間くらいで躁鬱がめまぐるしく入れ替わる人もいます。これをrapid circlerと呼びます。
うつ状態だけの時期には診断がつかないことが多い。躁状態が出現して初めて診断が確定することが多い。
 発病前の生活歴を詳しく聴取すると、数ケ月周期でハイテンションになったりスランプになったりする気分の変動が認められることがあります。これは双極性障害の診断のヒントになります。

躁鬱病(双極性障害)の原因
 うつ病のようなはっきりした原因がないことが多い。何もなくても時期が来るとハイになったりうつになったりします。もとの性格に気分変動があることが特性です。しかし、選挙運動やお祭りなどが躁状態を誘発することがあります。
 
躁鬱病(双極性障害)の治療
うつ状態から始まった場合、うつ病として治療しています。躁転したことで双極性障害という診断が確定することが多いのです。この疾患だけは例外的に精神療法より薬物療法が優先します。抗躁剤、就眠剤などの薬剤を使用します。躁状態が落ち着いても服薬は続けます。繰り返す疾患ですので維持療法が必要なのです。