うつ病の治療

うつ病の治療  

 うつ病の治療のお話をします。うつ病は「身体がきつい」「食べれない」「眠れない」等の症状と一緒に「何もする気が起こらない」という症状がある病気です。内科などで検査をしても身体病としては異常がありませんが、これは病気です。決して「甘えていると」か「病気に逃げている」ではないのです。

先ず休養しましょう。

 うつ病はやる気力が無くなる病気ですから、症状の強い時期は出来る限り何もしないで休ませていただくことです。原因が家庭や仕事場にある場合は、入院などしてその環境から離れて休養することが必要でしょう。一人暮らしの人は話し相手もいないので、考え込むだけですので、入院するか実家に帰るかをお勧めします。

②抗うつ剤や睡眠導入剤などを適量利用しましょう

 休養の次はお薬を使います。薬を怖がる人や「頼りたくない」と言われる方も多いことは知っています。しかし、うつ病の治療は薬を利用するのが早道です。気力の無くなっている人に少し気力を与えてくれるのが薬です。眠れて食べられるようにならないとうつ病は改善してきません。薬で気力が出てきてから後で、ご自分で努力をしたいただくことになります。気力のない人に薬を使わず自分で努力しなさいというのは、あまりに酷なことで、結果が出ません。軽いうつ病では薬が合うだけで症状は改善し、次に述べる原因探しをしなくてもよい場合が多くあります。

③原因の整理し対策を考えましょう。  

 多くのうつ病は「仕事や家庭のことなどで、我慢したり・努力をしたりしてきて、限界に来た結果です。限界が来たので休みなさいという「赤信号」です。まじめに生きてきた人の勲章で、決して恥ずかしいことではありません。  何に我慢し耐えてきたのか? 一緒にその原因探して、対策を考えましょう。これがうつ病の治療の中心となる作業です。  うつ病になった原因を容易に見つけることができる場合は、その現実を解決する方を考えます。問題点が自分では気づかないこともあります。これを無意識と言います。この場合は原因を探すところから作業をすることになります。  原因は周囲の環境にだけあるのではありません。その人の性格の中にも見いだすことが出来ます。忙しい職場で疲れたとしても、その職場の人全員がうつ病になるわけではありませんね。適当に手抜きが出来る人や、要領よく仕事の出来る人はうつにならずに済むかも知れません。真面目で、仕事をきっちりしようとする人は、仕事に時間がかかり疲れ果てるということになります。  元々ゆっくりペースの性格の人もいます。多忙な仕事が来ると他の人より早く赤信号がつきます。  この様に原因となっている環境や性格を明らかにして、どう解決していくか・・これを一緒に考える作業が治療です。この共同作業をカウンセリングと言います。診察も簡単なカウンセリングと理解して下さい。長期間服薬して改善しないうつ病の人はこの作業が進んでいないと予想します。  中には、この様な現実の問題だけではなく、生まれ育った歴史まで絡んだ根深い病気の人も居られます。この様な深層心理の問題を扱う面接は本格的な精神療法となり、長い時間を掛けて問題を解明していく作業になります。