日本人は珍しい人種である(その2)

日本人は珍しい人種である(その2)
 前回は「控えめが美徳」というお話をしましたが、今回は「日本人の甘えの文化」について書きます。

★甘えの心性
「言わなくても判ってくれるだろう」とか、「頼まれないことでも世話を焼く」こともよくあります。これらも日本人の特性です。

①人に干渉しない。求められればそれなりに親切である。
 渡米した当初は住む場所を探したり、使っていないTVや食器など必要な物品を届けてくれたり、研修するのに必要な情報を親切に教えてくれた。皆さんとても親切だった。ところがその後は一切何もしてくれなかった。どこで何を勉強が出来るのか、誰も教えてくれることもなく、放っておかれたような印象を受けた。困り果てて、尋ねると、必要な情報を詳細にくれるし、先方にアポまで取ってくれる。しかし、その後はまた放ったらかしになった。
 言葉もあまり通じない外国人がひとりでいるのだから、もう少し気を使ってくれてもいいのではないか?・・この考えは日本人の甘えた考えによるものだと気づいた。助けを求めない限り何もしない。頼まれないのにあれこれするのはお節介なのである。私の環境に気配りしてくれたのは日系二世のJoe Yamamotoだけでした。彼は独立記念日のホームパーティーに呼んでくれたのです。彼は日本人の気配りを持っている人で、日系人だなあと思いました。欧米人に言わせると「お節介」と言われる行為でしたが、私は嬉しかった。

②夫婦の間でも「言わなくても判るだろう」は通用しない。映画などでお判りのように日常的に「I love you」という言葉を求める欧米人。「言わないと判らないでしょう」というのがあちらの考え。日本人の男性と結婚した日系三世のご婦人と話したことがある。彼女は夫があまり「I love you」と言ってくれないことが不満だと言った。夫は「以心伝心」で判るはずと言うが、どうしてだと問われた。以心伝心の解説をしたが彼女は「言葉にしないと伝わらない」と主張し続けた。彼女はすでにアメリカ人なのである。

③オリンピックで話題になった「おもてなしの心」もその心性の一部でしょう。客が求める前に必要なことを察知し、言われなくても準備したりする。欧米では考えられないサービス精神なのである。
 気の利いたホテルに泊まると、チェックインしたところでお茶やお菓子でおもてなしをする。気の利いたサービスで、嬉しいおもてなしですね。

 宿に泊まり、帰る時に寝具をある程度きれいにしたり、パジャマなども簡単に片付けて退出するのが日本人。ホテルで働いている人に聞くと、韓国人や中国人は散らかしたまま退室するそうです。NHK-BSの「クールジャパン」という番組でも似た話題がありました。欧米の人も中国人も「片づける係の人が居るのだから放って退室するのは当然でしょう」という答えをしていました。日本人の気配りの文化がここにもありますね。

④名著「甘えの構造論」土居武郎著
 高名な精神科医である土居先生が書かれた名著があります。
 古い本ですので書店にはないと思いますが、図書館に行けば読めると思います。一読に値しますよ。(当院の蔵書の中にあります)